私は、バブル期を含め、過去の株式投資で身につけてし まった「高値当て、安値当て」や、ハイテク株の様なブーム株への投資を止めて、この 際投資法を抜本的に見直すべきではないかと提案したが、投資方法に思い悩み続けてい た多くの方々に、多々通じるものがあったようだ。
もっとも、お便りいただいた方々の多くは年輩者で、幾多の苦難を経験したがゆえに、 筆者の主張に耳を傾ける気になってくれたのだろう。その一方、九九年度前半(四月~九 月)の様に、店頭株、二部株、一部株の中でも値がさハイテク株や銀行株の乱舞に参加 したセミプロや新規参入者の方々は、それらの株に投資しないのはおかしいと思われた だろう。この時期を取り出せばまさにその通りだが、年間を通せば、筆者の主張通りに 投資してもあまり儲けに差が出ないことがいずれ立証されるはずだ。さんざんウロウロ させられて儲ける銘柄より、下げ幅の戻り分の大半をきっちり取る投資法の方が、余程 やさしくて楽だと。
ところで、投資家の多くはそれなりに研究熱心で、かなりの研究時間をかけている人 も少なくないことが解った。しかし、結米は儲けたり損したりの繰り返しで、中には損 の方が多いという人もいた。バブル後の相場は例外としても、日本株は長期にわたる上 げ相場だったのだから、本来儲かったはずだが、現実には、儲け続けた人は少数の様だ。
この虚しい収り組みに疲れ始めた方々は、本書を読んでやっと気づいてくれたようだ。 見果てぬ夢を追う様に、ああでもない、こうでもないと、答えのない世界をさまよって いただけだと解ってくれたようだ。その証拠には、「今後は基本に忠実な株式投資をす るので、これからは儲けられそうだ」との自信に満ちた言い回しがついているケースも 多々あった。
そう感じ取っていただいた方ならば、もはや勝利は疑いなかろう。何しろ、損さえ出 さなければ勝手に利益が積み重なるのだから。後は、読者白身が今までの投資経験から 得た知識の内、利用できるものは利川しつつ、ここから得た新しい考え方と上手くミッ クスしていけばよく、残るは性格の問題だけになる。
ここまでの話なら、これからは誰でもこのやり方でバラ色の世界に行けるはずと思え よう。しかし、残念ながら人が人である限り、多分そうはならないだろう。なぜ急にそ ういう言い方に変わるかというと、一般的に、人は最初に決めたルール通りにやらない ケースが多発するからだ。途中でどんどん気が変わるのだ。
そうなる原因の一つとしては、人間はかなり欲張りな生き物にできているからではな いか。株式投資とは、短期間で驚くほど値上がりする株を見つけ出すことと信じ込み、 そのことにしか関心が向かなかった人が多い。やっと本書でその考え方の誤りを自覚し たのはよいが、それはあくまで「考え」だ。九九年度前半の様に、一部の株がどんどん 値上がりすると、買う勇気がないのにもかかわらず、何か損をしたような気になる。 特に、身近な友人や知人が偶然そういう株で儲けたなどという話を聞けば、なおのこ と自分にもできぬはずはないと考える。そうなれば、ついこの間「やっと解った」など と言ったことなど忘れてしまい、また元の道へと逆戻りだ。かなりの知性派と見られる 人でも、欲が強ければそういうパターンになる。結果、せっかく見つけた「これしかな いと思った投資法」もお蔵入りとなる。そして再び必勝法探しだ。
もう一つの原因は、高度技術社会においては、何でも分析さえすれば答えが出ると考 えがちな風潮が引き起こす誤解。法則性が明確に存在する世界であれば分析可能だが、 株式を動かす人間の気持ちほど気まぐれなものはない。一見最もルールに従う知的生物 であるかの様に兄える人間も、基本的には感情の赴くままに動くことが多い。その上、 自分は他人とは違うと考えがちな自信過剰型が多い。そういう方々が集う株式市場にお いて、株の売買という恐怖心の伴う欲得の世界に入れば、物事をシンプルに見る「原点 思考」などどこか遠くに忘れ去ってしまうのが落ちだ。そうなると、明確な答えの存在 しない世界に再び答えを追い求めるという「アリ地獄」に入るしかない。
自らを振り返って、これらの話に素直に納得してくれる方であれば、つまらぬ夢をみ ないで投資できるのではと、大いに期待が持てる。せっかく待ちに待った本格的な株式 黄金時代が到来した今、シンプルな「原点思考」さえできる方なら、この売買術で楽を して儲けるのはさほど難しくない。多くの著名なアナリスト達がやっているような、最 新のコンピュータを駆使しての株価分析や予測をする必要など更々ない。所詮どうやっ ても絶対確実な予測などできるはずがないからだ。そんな、難しく疲れる世界とは縁を 切り、チャートブックを精一杯有効利用して投資しさえすればよい。
ところで前著では、読み取りやすさを最重視したせいか、売買に対する”考え方”に ついては大変理解しやすかったと言ってもらえた。しかし、現実に売買をやってもらっ てみると、J冗買技術”については必ずしも解ってもらえているとは言い難かった。そ う思えたのは、どうも次の二つの理由が関係しているようだ。
一つは、頭の中や紙の上での架空の売買は、ほんの小口の売買の場合はそうでもない が、本格的な実践の場ではほとんど役立たないという事実のせいだろう。一例として、 最近若い男女を投資の世界に呼び込む為に、株式投資のシミュレーショングームが盛ん な様だが、これなど株式投資においては逆に悪影響を持たらすと考えて欲しい。大金を 動かすとはいっても、現実のリスクを伴わない、投資ゲームとして気楽にやって成功し た人が、いざ現実に大金を投資をすると、その瞬間からリスクの重さを味わい、耐えき れなくなると思う。全く異次元の世界に入ったと感じるはずだ。
ベテランと言われる人達ですら、投資金額の大きさによっては相当なプレッシャーを 感じる。机上の理論でしか株式投資経験のない人が、修羅場において平常心を保てるは ずがない。万一幸運にも、買いと同時に株価が上昇してくれたらそういう精神的プレ。 ジャーを先延ばしできよう。それどころか、さらに相場を甘く見て自信過剰となり、来 たるピンチにはより混乱を招きかねない。投資を続ける限りピンチを迎えるのは時間の 問題で、いずれは大きなリスクに直而し、大多数は我を失うはずだ。
もう一つは、経験のある人ほどそう簡単には自分の売買癖から抜け出せないという事 実だ。頭の中では解っているつもりでも、気が付けばやはり自分の投資法に戻ってしま っている。指摘されれば気付くが、そうでなければ新しい投資法で投資しているかのご とく間違いしてしまう。しかし残念ながら、この難問は一気には解決しない。投資を繰 り返しながら徐々に改善していくしかない。それはそうだ、無理はあるまい。今までの 考え方を急に根本的に変えるのだから。
スポーツの世界も同様だろうが、およそ世にあるもので、見たり聞いたりして頭で解 ったことを、そのまま現実の世界に通用させられるケースはほとんどなかろう。頭で解 れば通用するという世界は、どうも、党えたことをそのまま書けばよい、受験に代表さ れる財界くらいではないか。不規則変動が当たり前の世界においては、根気以外にも、 考える能力、工夫する能力及び胆力が要求される。
ところでこのサイトだが、前著で株式投資に対する考え方と基本的な投資技術については理 解してもらったはずなので、それを踏まえて、構成上三つのポイントを重祝する事とし た。一つは「金融論」。二つめは前著のチェック。出鱈目を書いていたのでは話になら ないので、信頼していただく為にも読者の審判を仰ぎ、同時にこれからの投資の参考に してもらう事とした。三つめが、前著で書き足りなかった話に加え、ユーザーが陥りやすい 投資手法についての解説。
まず金融の話だが、読者によっては最も煩わしい話だと感じる方もいよう。しかし、 株価を作るのが政府の政策であり、またアメリカが打ち出す金融政策によって世界の金 融情勢が決まる以上、これらの政策を読み解かねばならない。金融マーケ。トがどう変 動するかの知識がなくては、これまで以上に、怖くて投資などできない。株式本位制の 最先端を走るアメリカでさえ、世界最大の純債務国という強烈な爆弾を抱えているくら いだから、世界中の国々の中で、金融不安から逃れられる国などありえない。必然的に、 定期的とも言える、世界を巻き込んだ株価暴落懸念が起こる確率は高いのだから、嫌で も勉強せざるを得ない。
もっとも、いくら起ころうと、いずれ解決するなら放っておけばよいのではないかと の意見もあろう。それはそれで一つの意見だ。そう考える方は、時代の先端を行くだろ うと言われている、今後とも上下動の激しいであろうハイテク株に投資して、利回りな どという厄介なことは考えず、気の済むまで持ち続けるのも一興だろう。迎がよければ それなりに儲かるかもしれない。
ただここの目的は、読者の方々に、より安全確実な投資法により、毎年コンスタント な利回りを確保する巾がいかに大きな利益を残していくかを解っていただく為のものだ。 そして、それを実現する投資技術をお教えする為のものだ。平時における着実な利回り 確保はもちろんだが、悪名高きヘッジファンドを見れば解る様に、金融不安時は大きな 利益を確保するチャンスでもある。であるならば、頻繁に起こる金融不安に対して臆す ることなく、できうる限りリスクを減らしつつ、上手く利用させてもらおうというもの だ。せっかくのチャンスを利用しない手はないだろう。
翻って九九年度前半の株式相場は、ハイテク相場は上昇一途の感があったが、その他 の銘柄にはかなりの上下動があった。特に内需関連株はそうだった。高値予測の難しい、 値上がりの激しかったハイテク株についていくのは困難を極めたし、株価変動に習性が あるはずの内需大型株にも、かなり収り組みの難しさを感じたはずだ。その上さらに難 しかったのは、NY株の動向を見極めることだった。今回の株価上昇のきっかけは、外 人及びNY株のおかげと感謝しつつも、今後ますます、NY株式市場から口を離せそう にないのが最大の悩みとなろう。
しかし、株で生活の糧を得ようと志す以上、最低限の努力はしてもらわねばならない。 目標の定まらない無駄な努力ではなく、やった分だけ確実に身に付く技術ゆえ、身につ いてくればむしろ楽しくなるはずだ。まだ少し暗い時代だが、夢を持って、心も生活も 豊かにしてくれる株式投資に、できるだけ楽しく取り組んで欲しい。
やっぱり、年会費無料のクレジットカードがいいですね。

